「アメリカ社会とは、平らな淡水の池のようなもので、何を投げ込まれても、無反応のまま静かに吸収してしまう」

ヘンリー・アダムズ(画像はイメージです)
ヘンリー・アダムズ(画像はイメージです)
  • 1838年2月16日~1918年3月27日(80歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 歴史家、文筆家、政治評論家

英文

”American society is a sort of flat, fresh-water pond which absorbs silently, without reaction, anything which is thrown into it.”

日本語訳

「アメリカ社会とは、平らな淡水の池のようなもので、何を投げ込まれても、無反応のまま静かに吸収してしまう」

解説

この言葉は、アメリカ社会の受容性とその反応の乏しさを比喩的に表現している。ヘンリー・アダムズは、アメリカの社会構造が刺激や変革を与えられても、目立った抵抗や応答を示さず、すべてを呑み込んでしまうという性質に警鐘を鳴らしている。「平らな淡水の池」という比喩は、深みのない均質性や、波風の立たない表面的な平穏さを象徴している。

アダムズがこの言葉を述べた背景には、19世紀末から20世紀初頭にかけての急速な産業化と民主主義の形式化がある。社会が大量の移民・思想・技術を受け入れながらも、本質的な議論や価値の衝突を避け、表層的な統一を保とうとする姿勢に、彼は疑念を抱いていた。吸収することと、咀嚼して変化を生むことは違うという含意も、この名言に込められている。

今日でも、グローバル化や多様性の受け入れをうたう一方で、実質的な変化や深い対話が起こりにくい社会構造への批判として読むことができる。文化・思想・批判的視点が次々に投げ込まれても、それが波紋を生まずに消えていくとすれば、それは成熟ではなく惰性の表れである。この名言は、真の反応力を持つ社会であるためには、内面からの変革と葛藤が不可欠であることを示唆している。

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