「万人の合意は普遍的な誤解によって成り立っている。不運にも人々が互いを理解してしまったなら、決して一致することはないだろう」

シャルル・ボードレール(画像はイメージです)
シャルル・ボードレール(画像はイメージです)
  • 1821年4月9日~1867年8月31日(46歳没)
  • フランス出身
  • 詩人、評論家、「近代象徴詩の先駆者」

英文

“It is by universal misunderstanding that all agree. For if, by ill luck, people understood each other, they would never agree.”

日本語訳

「万人の合意は普遍的な誤解によって成り立っている。不運にも人々が互いを理解してしまったなら、決して一致することはないだろう」

解説

この言葉は、人間社会における合意と誤解の関係を逆説的に描いている。表面的な同意や調和は、実際には各人の異なる理解や解釈が重なり合った結果にすぎない。もし互いの考えを完全に理解してしまえば、その相違が露わとなり、合意は不可能になるという鋭い洞察が込められている。

この発想は、19世紀のフランス社会における政治的・思想的分裂を背景としている。革命後のフランスは理念的には「自由・平等・友愛」を掲げつつも、実際には社会的対立や価値観の衝突に満ちていた。ボードレールは、合意が必ずしも真の理解から生まれるものではなく、むしろ曖昧さや誤解が調停の役割を果たしていることを見抜いていたのである。

現代的に解釈すれば、この言葉は国際関係や社会契約に通じる。多様な文化や思想を持つ人々が完全に理解し合うことは不可能であり、曖昧な合意や建前こそが社会を維持する潤滑油となる。ボードレールの逆説は、対立を避けつつ共存を可能にする「誤解の効用」を示唆している。

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