「フランスは詩的ではない。むしろ彼女は、生まれつき詩に対する嫌悪を抱いている。韻文を用いる作家の中でも、常に彼女が好むのは最も散文的な者たちである」

- 1821年4月9日~1867年8月31日(46歳没)
- フランス出身
- 詩人、評論家、「近代象徴詩の先駆者」
英文
“France is not poetic; she even feels, in fact, a congenital horror of poetry. Among the writers who use verse, those whom she will always prefer are the most prosaic.”
日本語訳
「フランスは詩的ではない。むしろ彼女は、生まれつき詩に対する嫌悪を抱いている。韻文を用いる作家の中でも、常に彼女が好むのは最も散文的な者たちである」
解説
この言葉は、ボードレールによるフランス文学と国民性への挑発的な批評である。彼はフランスが理性や秩序を重んじる国民性を持ち、純粋に詩的なものよりも、散文的・論理的な性質を帯びた文学を好むと見なした。つまり、詩的感性に対して「先天的な嫌悪」を抱く国としてフランスを描写している。
背景には、19世紀フランスの文学的風潮がある。当時の読者は抒情的・象徴的な詩よりも、風刺、写実、社会批判を含んだ作品に親しんでいた。ボードレール自身が象徴的で難解な詩を追求したがゆえに、この国民性との齟齬を強く感じたのである。彼の言葉には、芸術的孤独や疎外感がにじむ。
現代的に見ると、この言葉は文化と芸術受容の関係を考える契機となる。どの国や社会も、芸術の中で好む傾向を持つ。フランスは理性と散文性を重んじるが、その一方でボードレールのような詩人も生んでいる。挑発的な批評の背後には、詩の居場所を求め続けた芸術家の切実な自負と孤立が浮かび上がるのである。
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