「愛の唯一にして至高の官能は、悪を犯すという確信にある。そして男女は生まれながらに、あらゆる官能の喜びが悪の中に見いだされることを知っている」

シャルル・ボードレール(画像はイメージです)
シャルル・ボードレール(画像はイメージです)
  • 1821年4月9日~1867年8月31日(46歳没)
  • フランス出身
  • 詩人、評論家、「近代象徴詩の先駆者」

英文

“The unique and supreme voluptuousness of love lies in the certainty of committing evil. And men and women know from birth that in evil is found all sensual delight.”

日本語訳

「愛の唯一にして至高の官能は、悪を犯すという確信にある。そして男女は生まれながらに、あらゆる官能の喜びが悪の中に見いだされることを知っている」

解説

この言葉は、愛と悪の結びつきを挑発的に語っている。ボードレールにとって愛は単なる純粋な感情ではなく、常に背徳や禁忌の影を伴うものであった。社会的規範や道徳を侵犯する意識こそが、愛をより強烈で官能的な体験に変えるのである。

この発想は、彼の時代の道徳観と鋭く対立する。19世紀フランスのブルジョワ社会では、愛は家庭と秩序に従属すべきものと考えられた。しかしボードレールは、むしろ愛の本質は破壊と逸脱にあると主張した。愛は人間にとって危険でありながら抗いがたい魅力を放つものであり、その点で「悪」と表裏一体なのである。

現代的に読むと、この言葉は愛の持つ禁忌性や破壊力を再認識させる。愛はしばしば倫理や理性を越え、人を激情へと導く。ボードレールの逆説は、愛の純粋性と危うさを同時に描き出し、我々に「なぜ人は愛に溺れるのか」という普遍的な問いを突きつけている。

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