「近代性とは、移ろいやすく、儚く、偶発的なものであり、それは芸術の半分を成す。もう半分は永遠で不変のものである。この絶えず変化する移ろいやすい要素を、軽視したり無視したりしてはならない」

シャルル・ボードレール(画像はイメージです)
シャルル・ボードレール(画像はイメージです)
  • 1821年4月9日~1867年8月31日(46歳没)
  • フランス出身
  • 詩人、評論家、「近代象徴詩の先駆者」

英文

”Modernity is the transitory, the fugitive, the contingent, which make up one half of art, the other being the eternal and the immutable. This transitory fugitive element, which is constantly changing, must not be despised or neglected.”

日本語訳

「近代性とは、移ろいやすく、儚く、偶発的なものであり、それは芸術の半分を成す。もう半分は永遠で不変のものである。この絶えず変化する移ろいやすい要素を、軽視したり無視したりしてはならない」

解説

この言葉は、芸術における「時代性」と「永遠性」の二重性を明確に示している。ボードレールは、芸術は一方で普遍的な価値や真理を追求するが、同時にその時代特有の儚い要素を取り込むことで生き生きとしたものとなると説いた。そして、この「移ろいやすいもの」は一過性であるがゆえに軽視されがちだが、芸術にとって不可欠であると強調した。

この考えは、彼の美術批評「近代生活の画家」に色濃く表れている。彼は芸術家に対して、同時代の都市生活や風俗を捉えると同時に、その背後に普遍的な本質を表現することを求めた。つまり、芸術は時代の一瞬と永遠の真理を架橋する営みであるという思想である。

現代においても、この視点は重要である。写真や映画、デザインやファッションといった表現は、同時代の移ろいやすい要素を写し取ることで後世に文化的価値を持つ。ボードレールの言葉は、芸術が「一時性」と「永遠性」を併せ持つことで初めて成立することを示し、表現者に対して時代を見つめる眼差しの大切さを訴えているのである。

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