「誰が芸術に、自然を模倣するという不毛な役割を与えることを敢えてするだろうか」

シャルル・ボードレール(画像はイメージです)
シャルル・ボードレール(画像はイメージです)
  • 1821年4月9日~1867年8月31日(46歳没)
  • フランス出身
  • 詩人、評論家、「近代象徴詩の先駆者」

英文

”Who would dare assign to art the sterile function of imitating nature?”

日本語訳

「誰が芸術に、自然を模倣するという不毛な役割を与えることを敢えてするだろうか」

解説

この言葉は、芸術と自然の関係に対するボードレールの根源的な批判を表している。彼は芸術を自然の単なる模倣にとどめる考え方を強く否定した。自然はありのままに存在しており、それをそのまま写すことは創造ではなく複製にすぎない。芸術の使命は自然を再現することではなく、人間の感性と想像力を通して新たな意味や美を創造することにあるとした。

19世紀フランスの芸術界では、写実主義が台頭し、自然を忠実に再現することが高く評価されていた。しかしボードレールは、写実だけでは芸術の本質に迫れないと考え、むしろ象徴性や主観性を重視する表現を志向した。これはのちの象徴主義やモダニズムの基盤となり、芸術観の大きな転換を促した。

現代においても、この視点は重要である。写真や映像技術が自然を忠実に記録できる時代にあって、芸術は依然として「模倣」ではなく「創造」の営みである。ボードレールの言葉は、芸術の価値は自然を超えて人間の精神を映し出すところにあることを鋭く示しているのである。

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