「偽善者なる読者よ、我が同胞、我が兄弟よ!」

- 1821年4月9日~1867年8月31日(46歳没)
- フランス出身
- 詩人、評論家、「近代象徴詩の先駆者」
英文
”Hypocrite reader my fellow my brother!”
日本語訳
「偽善者なる読者よ、我が同胞、我が兄弟よ!」
解説
この言葉は、ボードレールの詩集『悪の華』の有名な一節であり、読者への直接的かつ挑発的な呼びかけである。彼は自らを告白的に描きつつ、その罪や矛盾を「読者もまた共有している」と指摘することで、読者を批判しながらも同胞として巻き込む独特の関係を築いている。
19世紀フランス社会において、『悪の華』は退廃的で不道徳とされ裁判にかけられたが、この言葉はその精神を象徴している。ボードレールは、詩人だけが堕落しているのではなく、読者も同じく人間的弱さと偽善を抱えていることを暴き出した。これは文学を道徳的説教ではなく、人間存在の赤裸々な写し鏡とする彼の姿勢を表している。
現代においても、この一節は強烈な力を持つ。読者に向かって「偽善者」と断じつつ「兄弟」と呼ぶ矛盾した呼びかけは、我々自身の内なる矛盾や偽善を突きつける。ボードレールの言葉は、人間の普遍的な二重性を暴き出すと同時に、文学が読者と作家を深く結びつける場であることを示しているのである。
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