「人は好みからでなくとも、絶望からでも働かねばならない。すべてを考え合わせれば、仕事は楽しみにふけるより退屈が少ない」

シャルル・ボードレール(画像はイメージです)
シャルル・ボードレール(画像はイメージです)
  • 1821年4月9日~1867年8月31日(46歳没)
  • フランス出身
  • 詩人、評論家、「近代象徴詩の先駆者」

英文

”It is necessary to work, if not from inclination, at least from despair. Everything considered, work is less boring than amusing oneself.”

日本語訳

「人は好みからでなくとも、絶望からでも働かねばならない。すべてを考え合わせれば、仕事は楽しみにふけるより退屈が少ない」

解説

この言葉は、労働の必然性と娯楽の虚しさを表している。ボードレールは、人間は欲望や生きがいから働くこともあれば、絶望や必要に迫られて働くこともあると述べる。しかしいずれにせよ、労働にはある種の意味や規律があり、退屈を紛らわせる点で、享楽的な遊びよりも優れていると考えたのである。

19世紀のフランス社会は都市化と産業化の中で急速に変化し、享楽的な都市文化と労働の苦役が対比的に存在していた。ボードレールは芸術家として遊興の世界にも身を置きながら、無目的な快楽がもたらす倦怠感(スプリーン)を痛烈に感じていた。この言葉は、彼自身の経験から導かれた実感を帯びている。

現代でも、この洞察は普遍的である。娯楽や消費に明け暮れるだけでは空虚感が増すことが多いが、創造的な仕事や学びには持続的な充実感が伴う。ボードレールの言葉は、労働が人間に退屈を超える秩序と意味を与える営みであることを示し、今日の私たちにも深い示唆を与えている。

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