「アダム・スミスが非道徳的だと誤解されるのは、まさに人々が彼の最初の本――『道徳感情論』を読まないからだ」

P・J・オローク(画像はイメージです)
P・J・オローク(画像はイメージです)
  • 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト

英文

“Adam Smith is misread as being amoral precisely because people don’t read his first book, because they don’t read ‘The Theory of Moral Sentiments.'”

日本語訳

「アダム・スミスが非道徳的だと誤解されるのは、まさに人々が彼の最初の本――『道徳感情論』を読まないからだ」

解説

この名言は、経済学の父アダム・スミスに対する一般的な誤解を正す指摘である。P・J・オロークは、スミスが冷酷な自由放任主義者として描かれることが多いが、それは彼の著作全体を読まずに断片的に理解しているからだと批判している。特に『国富論』ばかりが注目され、人間の共感や道徳を論じた『道徳感情論』が無視されている点に注意を促している。

この言葉は、知識の断片的消費に対する警告でもある。スミスは「見えざる手」で市場を説明したが、その背後には共感(sympathy)や道徳判断が重要な役割を果たすという認識があった。オロークは、そうしたスミスの人間観や倫理観を無視して市場原理主義だけを持ち上げる風潮に異を唱えている。

現代でも、思想家の一部だけを切り取って都合よく利用する風潮は根強い。オロークのこの指摘は、知識人や政策立案者に対して、全体を読み解く知的誠実さを求める主張であり、スミスの本質を理解せずに彼を武器化する行為への批判として重みを持つ。

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