「ヘンリー・アダムズには、現代的思想家の原型だけでなく、もっと興味深い人物を見いだした。毒舌で、泣き言ばかりの、尊大な偏屈者であり、野心は挫折し、優雅さなく老いていき、宇宙に怒り、自らの青臭い理想に恥じ入っている。それでも私は彼をとても愛しく思っている」

P・J・オローク(画像はイメージです)
P・J・オローク(画像はイメージです)
  • 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト

英文

”In Henry Adams, I discovered not only the prototype of the modern thinker but also someone who is more interesting: a viper-toothed, puling, supercilious crank, thwarted in ambition, aging gracelessly, mad at the cosmos, and ashamed of his own jejune ideals. He is nevertheless very dear to me.”

日本語訳

「ヘンリー・アダムズには、現代的思想家の原型だけでなく、もっと興味深い人物を見いだした。毒舌で、泣き言ばかりの、尊大な偏屈者であり、野心は挫折し、優雅さなく老いていき、宇宙に怒り、自らの青臭い理想に恥じ入っている。それでも私は彼をとても愛しく思っている」

解説

この言葉は、19世紀の知識人ヘンリー・アダムズを称賛しつつ、痛烈な皮肉と愛情を込めて描写する独特なトーンを持つ。P・J・オロークは、「現代の思考者の原型」としてのアダムズの鋭い知性に敬意を表しながらも、それ以上に、人間としての弱さ・偏屈さ・苦悩といった「欠点の集合体」こそが興味深いと語っている。

viper-toothed(毒蛇のように鋭い歯)」「supercilious crank(尊大な偏屈者)」などの表現には、アダムズの厳しい批判精神と社会的不適応が浮かび上がる。それと同時に、「mad at the cosmos(宇宙に怒る)」「ashamed of his own jejune ideals(未熟な理想を恥じる)」といった記述は、理想と現実の間で苦悩し続けた内面の葛藤を示している。

しかしオロークは、そうした人格のひび割れを冷笑するのではなく、むしろ深い共感と親しみを抱いている。それは、時代や思想を超えて、不完全で矛盾に満ちた人間存在への共鳴とも言える。現代でも、多くの思想家や活動家が同様に理想に破れ、葛藤し、恥じらいながらも前に進もうとしている。オロークはそうした人間的複雑さを愛することの大切さを語っているのである。

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