「私は決して作品を完成させたくありません。常に未完成の仕事を信じてきました。その考えはシューベルトの『未完成交響曲』から得たのです」

オノ・ヨーコ
オノ・ヨーコ
  • 1933年2月18日~
  • 日本出身(後にアメリカ合衆国に帰化)
  • 前衛芸術家、音楽家、平和活動家、「ジョン・レノンの妻」

英文

”I never want projects to be finished; I have always believed in unfinished work. I got that from Schubert, you know, the ‘Unfinished Symphony.’”

日本語訳

「私は決して作品を完成させたくありません。常に未完成の仕事を信じてきました。その考えはシューベルトの『未完成交響曲』から得たのです」

解説

この言葉は、オノ・ヨーコが芸術を永遠に開かれた過程として捉えていることを示している。完成という概念は一見美徳のように思われるが、彼女にとって完成は閉じられた終点であり、鑑賞者や時間との対話を遮断するものであった。むしろ未完成であることで、作品は常に新たな解釈や参加を受け入れる余地を持ち続ける。

背景には、19世紀作曲家フランツ・シューベルトの『未完成交響曲』の存在がある。この曲は二楽章しか完成していないが、その未完ゆえに聴き手に想像力を与え、かえって永遠性を獲得した。オノはこの「未完成」という概念を前衛芸術に応用し、自身のインストラクション・アートや参加型作品においても、観客が関わることで初めて続きが生まれるようにした。

現代的に見ても、この発想は創作や人生に広がりを持つ。完璧を目指すのではなく、あえて未完成を残すことで、他者や未来との対話の可能性が生まれる。オノの言葉は、作品だけでなく人生もまた「未完成」であり続けるからこそ、自由と創造性に満ちているのだという視点を与えているのである。

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