「神の感情を装った偽りの怒りによって、大いなる者の妻はひどく害されるであろう。裁きを行う者たちは、その教義を断罪しようとし、犠牲者は無知なる民衆のために犠牲とされる」

- 1503年12月14日~1566年7月2日(62歳没)
- フランス出身
- 医師、占星術師、詩人
英文
”Through the feigned fury of divine emotion, the wife of the great one will be badly wronged. Judges, wishing to condemn such a doctrine, the victim will be sacrificed to the ignorant people.”
日本語訳
「神の感情を装った偽りの怒りによって、大いなる者の妻はひどく害されるであろう。裁きを行う者たちは、その教義を断罪しようとし、犠牲者は無知なる民衆のために犠牲とされる」
解説
この句は、宗教的激情や偽りの信仰心が人を害する構図を描いている。「神の感情を装った偽りの怒り」とは、宗教的権威が自己正当化のために利用する狂信的態度を指すと解釈できる。それによって「大いなる者の妻」が不当に害されるという表現は、権力者や著名人の家族が宗教的・政治的理由で犠牲となる事態を暗示している。
また、「裁きを行う者たち」が「教義を断罪する」という一節は、宗教裁判や異端審問の状況を思わせる。特に16世紀フランスは宗教改革とカトリックの対立の時代であり、民衆を前にした公開裁判や処刑がしばしば行われた。ここでは「無知なる民衆のために犠牲とされる」と述べられており、宗教的熱狂が司法を歪め、正義よりも大衆の感情を満たすことが優先される状況を批判している。
現代的に読むならば、この句は権力と宗教が結び付いて個人を犠牲にする構図を寓話的に示している。民衆が無知や感情によって操られるとき、理性や正義は後退し、犠牲者が不当に生まれる。これは歴史上繰り返されてきた現象であり、今日でも世論や感情による裁きの危険性を警告する普遍的な予言として理解できる。
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