「私自身の存在と、自分と自らの観念のうちに見出される依存性から、理性の働きによって、私は神の存在と、すべての被造物が神の心の中に存在することを必然的に推論する」

- 1685年3月12日~1753年1月14日(67歳没)
- アイルランド出身
- 哲学者、聖職者、「主観的観念論(イマテリアリズム)を提唱した近代哲学者」
英文
”From my own being, and from the dependency I find in myself and my ideas, I do, by an act of reason, necessarily infer the existence of a God, and of all created things in the mind of God.”
日本語訳
「私自身の存在と、自分と自らの観念のうちに見出される依存性から、理性の働きによって、私は神の存在と、すべての被造物が神の心の中に存在することを必然的に推論する」
解説
この名言は、ジョージ・バークリーの哲学における神の中心的役割を明確に表している。バークリーにとって、私たちの観念は心に依存して存在しており、さらにその心自体も独立して存在するものではなく、より高次の存在——すなわち神——に依存している。このようにして、有限な自己の存在の不完全さや依存性を認識することで、無限で自存的な存在としての神の実在を理性的に導き出す。
この論法は、デカルト的な「我思う、ゆえに我あり」から出発しつつ、自己の限界を超えた存在を想定するという伝統的神学的推論と哲学的合理性の融合である。バークリーは、物質の実在を否定する一方で、神の永遠の知覚によって世界が維持されていると主張し、その根拠をこのような理性的省察に求めた。つまり、「神の心の中」にこそ、世界のあらゆる事物が真に存在するのである。
現代の哲学では、このような議論は神学と存在論の交差点として位置づけられる。科学的自然主義とは異なり、バークリーの立場は存在を知覚に還元し、さらにその基盤を神の精神に置くことで、世界を意味あるものとして再構成する。この名言は、自我の限界と依存性を出発点に、宇宙の全体性とその秩序を保証する神的存在へと理性を導く思索の到達点を簡潔に示している。
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