「自らの観察について自由に考察できる心は、たとえ世の中の役に立たなくても、自らを楽しませることにはほとんど失敗しない」

- 1685年3月12日~1753年1月14日(67歳没)
- アイルランド出身
- 哲学者、聖職者、「主観的観念論(イマテリアリズム)を提唱した近代哲学者」
英文
”A mind at liberty to reflect on its own observations, if it produce nothing useful to the world, seldom fails of entertainment to itself.”
日本語訳
「自らの観察について自由に考察できる心は、たとえ世の中の役に立たなくても、自らを楽しませることにはほとんど失敗しない」
解説
この言葉は、思索する自由な精神の価値を高く評価したものである。人が自分自身の経験や観察をもとに自由に思索を巡らせるとき、それがたとえ他人にとって実用的でなくとも、内面には充実した喜びや興味深さが生まれるという事実を示している。思考の独立性こそが精神の慰めとなりうるという、静かな哲学的充足感が込められている。
この考え方は、ジョージ・バークリーの哲学的立場と親和性が高い。彼は知覚こそが存在の基盤であり、世界は心によって形成されると考えた。ゆえに、外界の有用性よりも、内面世界の豊かさに価値を見出すこの名言は、彼の主観的観念論と整合している。観察と反省という行為が、自己の意識の中で世界を構成し、満足をもたらすというバークリーの思想が表現されている。
現代においても、自己の内面に向き合う時間が減っている社会では、この言葉の意義は大きい。たとえば、SNSや外的評価に追われて「役に立つこと」ばかりを求める風潮の中で、自分自身の経験をゆっくりと思索し、それに面白さを見いだす時間の価値は軽視されがちである。この名言は、実用性だけが人生の価値を決めるのではないという、思索の楽しさを静かに思い出させてくれる。
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