「善とは、単に悪を行わないことではなく、悪を行いたいと望まないことである」

デモクリトス(画像はイメージです)
デモクリトス(画像はイメージです)
  • 紀元前460年頃~紀元前370年頃
  • 古代ギリシャ出身
  • 哲学者、自然哲学者、「原子論の提唱者」

英文

“Good means not merely not to do wrong, but rather not to desire to do wrong.”

日本語訳

「善とは、単に悪を行わないことではなく、悪を行いたいと望まないことである」

解説

この言葉は、真の善とは行為だけでなく、欲望や動機の純粋さにこそ宿るという倫理的洞察を語っている。デモクリトスは、道徳的な価値は外的な行動の結果ではなく、内面的な意志のあり方に根ざすと考えた。つまり、善人とはたんに罪を犯さない人ではなく、そもそも悪を望まない心を持つ人であるという厳密な道徳観を示している。

この思想は、古代ギリシアの倫理哲学の伝統――とくにソクラテスやストア派の「魂の統御」という考え方と通じる。人はしばしば外的要因によって行動を抑制するが、それだけでは不十分であり、心の奥底から欲望を浄化し、理性によって内面を整えることが徳の本質であるとされた。デモクリトスもまた、善の実践には内面の一致が不可欠であると強調している。

現代においてもこの名言は、形だけの道徳や偽善的な行動への警鐘となる。社会的制裁を恐れて悪を避けるのではなく、自らの内面から正しいことを望む心を育てることの大切さを教えてくれる。これは教育、政治、日常の人間関係すべてに通じる普遍的な倫理であり、外面的な善行以上に、内面的な誠実さこそが人間の価値を決めるというデモクリトスの深い信念を示している。

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