「この世界を動かしているのは、利益の計算だけである」

フリードリヒ・フォン・シラー(画像はイメージです)
フリードリヒ・フォン・シラー(画像はイメージです)
  • 1759年11月10日~1805年5月9日(45歳没)
  • ドイツ出身
  • 劇作家、詩人、歴史家、哲学者

英文

“The world is ruled only by consideration of advantages.”

日本語訳

「この世界を動かしているのは、利益の計算だけである」

解説

この言葉は、人間社会の根本的な動機が「利益」や「損得勘定」によって支配されているという冷厳な現実を指摘している。道徳や理想よりも、打算や功利が優先される世の中の構造に対し、シラーは批判的なまなざしを向けていた。この名言は、理想主義者としての彼が現実社会に感じた失望と、その中でいかに倫理を保つかという葛藤を反映している。

18世紀末のヨーロッパ社会は、啓蒙思想の理念が高まる一方で、政治的・経済的現実は権力と利益によって動いていた。シラーの時代には、フランス革命の理想が変質し、力による現実主義が台頭していた。彼はそのような時代の潮流を見抜きつつ、真に人間的な価値とは何かを問い続けた。

現代でも、政治・経済・外交・企業活動などあらゆる場面で「何が得か」が判断基準とされる風潮がある。この名言は、そうした風潮の中で、人間社会が利益追求だけで成り立つとき、倫理や共感、理想が失われていく危険性を暗に警告している。単なる現実批判にとどまらず、損得を超えた行動の意義を問い直すきっかけとなる言葉である。

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