「票は数えられるべきではなく、重みづけされるべきである」

- 1759年11月10日~1805年5月9日(45歳没)
- ドイツ出身
- 劇作家、詩人、歴史家、哲学者
英文
“Votes should be weighed not counted.”
日本語訳
「票は数えられるべきではなく、重みづけされるべきである」
解説
この言葉は、民主主義の数量的平等が、必ずしも質的な正当性や真理に通じるとは限らないという警句である。単に票の数を競うのではなく、それぞれの意見や判断の質・重みを考慮すべきだという主張が込められている。シラーは、単なる数の論理が真理や正義を保証しないことを鋭く見抜いており、この名言には「多数決の危うさ」に対する哲学的批判がにじむ。
この考え方は、18世紀後半の啓蒙思想とフランス革命の影響を背景にしている。当時、急進的民主主義が広がる中で、「民意」とは何か、「正義」と「数の力」は一致するのかといった根本的問題が問われていた。シラーは民衆の力を否定していたわけではないが、理性と教養に裏打ちされた判断こそが社会を導くべきであるという信念を持っていた。
現代においても、ポピュリズムや情報操作によって、多数の意見が必ずしも賢明とは限らない場面がしばしば見られる。この名言は、民主主義を健全に機能させるためには、単なる多数ではなく、思慮深く責任ある判断を評価すべきであるという、深い倫理的問いかけを含んでいる。
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