「私たちはできるだけ早く地上から天へと飛び立たなければならない。そして天へ飛び立つとは、可能な限り神に似た存在になることであり、神に似るということは、聖なる者、正義の人、そして賢者になることである」

- 紀元前427年~紀元前347年
- 古代ギリシアのアテナイ(アテネ)出身
- 哲学者、学者、アカデメイア(アカデミー)創設者
英文
”We ought to fly away from earth to heaven as quickly as we can; and to fly away is to become like God, as far as this is possible; and to become like him is to become holy, just, and wise”
日本語訳
「私たちはできるだけ早く地上から天へと飛び立たなければならない。そして天へ飛び立つとは、可能な限り神に似た存在になることであり、神に似るということは、聖なる者、正義の人、そして賢者になることである」
解説
この名言は、人間の霊的な成長と神聖さへの追求を表している。プラトンは、肉体的・物質的な世界に囚われるのではなく、精神的に高次の存在になることを目指すべきだと考えた。彼の哲学では、「天へ飛び立つ」とは、単に死後の世界を指すのではなく、精神的な成長を遂げて、より高い倫理的・知的な存在になることを意味する。この旅は、神に似る努力を通じて、人間が自らの魂を浄化し、聖なる存在へと近づくことを目指す。
プラトンの思想において、「神に似る」とは具体的にどういうことかというと、それは聖なる者、正義の人、そして賢者になることである。聖なる者とは、道徳的に清らかで、利己的な欲望から解放された存在を指す。正義の人は、他者との関係において公平であり、すべての行動において正義の原則を守る者である。賢者とは、知恵を持ち、自分の行動や選択に理性をもたらす人である。これらの徳を持つことで、人間は神のように高貴で崇高な存在へと近づくことができる。この成長の過程は、人間が自己の欲望を克服し、理性的な存在へと進化することを要求する。
この名言はまた、プラトンの二元論的な世界観を反映している。彼は、物質的な世界は一時的で不完全なものであり、霊的な世界こそが永遠で完全なものであると考えた。地上の世界は変化しやすく、欲望や苦しみが存在するが、天の世界は真実と永遠の美が支配する領域である。したがって、物質的な欲望や肉体的な束縛から解放され、魂の浄化を目指すことが、真の幸福への道だとプラトンは説いた。地上に縛られることなく、精神的な次元を目指して努力することが人間の本分である。
現代においても、この名言は私たちに重要な教訓を与えている。物質的な成功や快楽を追い求めることが多い現代社会では、精神的な成長や内面的な価値を忘れがちである。しかし、プラトンの教えは、物質的なものよりも倫理や知恵、精神的な純粋さを重視することで、より充実した人生を送ることができると示している。たとえば、他者を助けたり、知識を追求したり、倫理的な行動を取ることで、私たちは自分の魂を高めることができる。神聖さと知恵を目指すことが、人生の真の目的であるという考えは、現代でも多くの人に響く。
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