「物質的な快適さは精神的な苦しみを鎮めることはできない。よく観察すれば、多くの所有物を持つ人々が必ずしも幸せではないことが分かる。実際、裕福であることはしばしばさらに大きな不安をもたらす」

- 1935年7月6日~
- チベット出身
- 宗教指導者、仏教僧、チベット亡命政府の元首相・精神的指導者
英文
”Physical comforts cannot subdue mental suffering, and if we look closely, we can see that those who have many possessions are not necessarily happy. In fact, being wealthy often brings even more anxiety.”
日本語訳
「物質的な快適さは精神的な苦しみを鎮めることはできない。よく観察すれば、多くの所有物を持つ人々が必ずしも幸せではないことが分かる。実際、裕福であることはしばしばさらに大きな不安をもたらす」
解説
この言葉は、物質的豊かさと幸福の乖離を指摘している。快適な生活環境や財産があっても、心の苦しみは必ずしも解消されない。むしろ所有物が増えることで執着や不安が強まり、かえって心が落ち着かなくなることさえある。ここで強調されているのは、真の幸福は外的条件ではなく心の在り方に依存するという洞察である。
背景には、仏教の「執着(tanhā)」と「苦」の教えがある。仏教では、欲望や執着こそが苦しみの原因であり、それを克服することで心の自由と安らぎを得られると説く。ダライ・ラマ14世はこの伝統的教えを現代的な言葉で表現し、物質至上主義に陥りがちな社会に警鐘を鳴らしている。
現代においても、この名言は消費社会と精神的健康の関係を考えるうえで重要である。豊かさを追い求めるあまり心をすり減らす人々が多い現代において、物質よりも心の平和を重視する姿勢は大きな示唆を与える。したがって、この言葉は、所有ではなく心の在り方こそが幸福の鍵であることを教えているのである。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?