「人間の本性は優しさであると言うとき、もちろんそれが100パーセントそうだというわけではない。すべての人間がその本性を持っているが、その本性に反して偽りの行動をする人も多い」

- 1935年7月6日~
- チベット出身
- 宗教指導者、仏教僧、チベット亡命政府の元首相・精神的指導者
英文
”Of course, when I say that human nature is gentleness, it is not 100 percent so. Every human being has that nature, but there are many people acting against their nature, being false.”
日本語訳
「人間の本性は優しさであると言うとき、もちろんそれが100パーセントそうだというわけではない。すべての人間がその本性を持っているが、その本性に反して偽りの行動をする人も多い」
解説
この言葉は、人間性の根本にある優しさとその矛盾を指摘している。ダライ・ラマ14世は、人間には本来的に優しさや思いやりの性質が備わっていると考えるが、同時に現実にはそれに背いて偽りや利己的な行動をとる人も少なくないことを認めている。ここで強調されているのは、人間の本質的な可能性と現実の乖離である。
背景には、仏教的な「仏性」の考え方がある。仏教では、すべての人間が本来善なる性質を持つと説くが、煩悩や無知によってそれが覆い隠されるとされる。ダライ・ラマ14世はこの伝統的思想を踏まえつつ、現実的に人々がしばしば本性に逆らうことを認め、理想と現実を統合した視点を提示している。
現代においても、この名言は人間理解の深さを教えている。例えば、社会の中で不正や暴力が起きると、人間は本来残酷なのではないかと考えがちだが、この言葉はそれを否定する。むしろ、人間の優しさが基本であるがゆえに、その本性に反する行動が問題なのである。したがって、この名言は、希望を持ちつつも現実を直視し、人間の本性を引き出す努力の重要性を説いているのである。
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