「もし私がラサに留まっていたならば、中国の占領がなかったとしても、おそらく正統的な形で儀礼的な役割を担っていたであろう」

ダライ・ラマ14世
  • 1935年7月6日~
  • チベット出身
  • 宗教指導者、仏教僧、チベット亡命政府の元首相・精神的指導者

英文

”If I had remained in Lhasa, even without the Chinese occupation, I would probably have carried the ceremonial role in some orthodox way.”

日本語訳

「もし私がラサに留まっていたならば、中国の占領がなかったとしても、おそらく正統的な形で儀礼的な役割を担っていたであろう」

解説

この言葉は、ダライ・ラマ14世が自らの歴史的立場と運命について振り返ったものである。彼はチベット仏教の最高位にありながら、亡命という状況に置かれたことで、単なる宗教儀礼の執行者にとどまらず、より広い人類的課題に関与する存在へと変化した。もしラサに留まっていたならば、その役割はより伝統的で閉じられた宗教的指導者にとどまっただろうという自己認識が示されている。

この発言の背景には、1959年の中国によるチベット占領とそれに伴う亡命がある。亡命は苦難であったが、結果として彼は国際的な舞台に立ち、宗教指導者でありながら平和活動家としての顔を持つことになった。この状況が、彼の思想をチベット内部の枠を超えた普遍的なメッセージへと広げる契機となったのである。

現代においても、この言葉は逆境が新しい役割を生み出すという普遍的な真理を示している。人は環境や時代の制約により、自らの道が定められることがあるが、予期せぬ困難が逆に新たな可能性を開くこともある。ダライ・ラマの例は、境遇を受け入れつつ、それをより広い使命へと転換することの重要性を教えているのである。

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