「私自身の転生に関してはっきりさせておきたいのは、その最終的な権限は他の誰でもなく、私自身にあるということだ。中国共産党など論外である」

ダライ・ラマ14世
  • 1935年7月6日~
  • チベット出身
  • 宗教指導者、仏教僧、チベット亡命政府の元首相・精神的指導者

英文

”One thing I want to make clear, as far as my own rebirth is concerned, the final authority is myself and no one else, and obviously not China’s Communists.”

日本語訳

「私自身の転生に関してはっきりさせておきたいのは、その最終的な権限は他の誰でもなく、私自身にあるということだ。中国共産党など論外である」

解説

この発言は、チベット仏教の転生制度と、それに対する中国政府の政治的介入をめぐる非常に鋭い声明である。ダライ・ラマ14世は、転生(ラマの再誕)という宗教的伝統の中で、次のダライ・ラマを誰が認定するのかという問題について、自らの意志を明確に主張している。特に「中国共産党」という明示的な対象を否定しており、宗教の内部的な問題に対する国家権力の干渉を拒絶する姿勢がうかがえる。

背景として、2000年代以降、中国政府はダライ・ラマ後継の選定に関して国家主導の枠組みを構築しようとしている。たとえばパンチェン・ラマの指名においても、中国側とダライ・ラマ側の間に深刻な対立があった。こうした文脈において、ダライ・ラマ14世のこの言葉は、宗教的自立と精神的自由の主張であると同時に、チベット人のアイデンティティを守るための政治的なメッセージでもある。

現代においても、国家が宗教に介入しようとする例は少なくない。この名言は、信仰や人生に関わる本質的な決定権は、自身の内にこそあるべきだという普遍的な原則を示している。宗教的指導者に限らず、個人が自らの生き方や価値を他者に委ねず、自分で選び取る尊厳を守ることの重要性を訴える言葉である。

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