「勉強がわるくないのだ。勉強の自負がわるいのだ」

- 1909年6月19日~1948年6月13日(38歳没)
- 日本出身
- 小説家
原文
「勉強がわるくないのだ。勉強の自負がわるいのだ」
解説
この言葉は、太宰治が学問そのものの価値と、それを誇る態度の危うさを切り分けて示したものである。勉強や知識の習得は人間にとって有益であり、決して悪いものではない。しかし、その知識を持つことで他者に優越感を抱き、自負心に溺れることこそが害悪だと太宰は指摘している。つまり問題は「学ぶこと」ではなく「学んだ後の態度」にあるというのである。
昭和初期の社会において、学歴や学問的素養は社会的評価を大きく左右する要素であった。そのため、勉強をした人間はしばしば他者に対して優越意識を抱きがちであった。太宰はその風潮を批判し、真の教養とは謙虚さと人間性に根ざすものであり、自負や傲慢はむしろ学問の価値を損なうと喝破している。
現代においても、この言葉は大きな意味を持つ。資格や学歴、スキルを誇示することは一時的な優位を生むが、それが他者を見下す態度につながれば人間関係を壊す。太宰のこの言葉は、学びの本質を問い直し、知識を誇るのではなく活かし方にこそ価値があると示しており、今なお鋭い警句として通用するのである。
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