「私は言う、民主主義は自らの芸術や詩や学校や神学の形を築き、豊かに成長させ、かつ過去に相反する影響のもとで生み出されたあらゆるものを置き換えるまでは、決して疑いなくその力を証明することはできない」

- 1819年5月31日~1892年3月26日
- アメリカ合衆国出身
- 詩人、随筆家、ジャーナリスト
英文
”I say that democracy can never prove itself beyond cavil, until it founds and luxuriantly grows its own forms of art, poems, schools, theology, displacing all that exists, or that has been produced anywhere in the past, under opposite influences.”
日本語訳
「私は言う、民主主義は自らの芸術や詩や学校や神学の形を築き、豊かに成長させ、かつ過去に相反する影響のもとで生み出されたあらゆるものを置き換えるまでは、決して疑いなくその力を証明することはできない」
解説
この言葉は、民主主義の真の完成には独自の文化的基盤が不可欠であるという思想を示している。政治制度としての民主主義は投票や制度設計によって成り立つが、それだけでは不十分であり、芸術、文学、教育、宗教的思索といった文化的領域においても、民主主義の精神を反映する独自の形を築かなければならないとホイットマンは主張する。
この発想は、19世紀アメリカにおける国家建設の文脈に強く関係している。独立後のアメリカは政治的には共和国を成立させたが、文化面では依然としてヨーロッパの伝統に依存していた。ホイットマンは『草の葉』を通じて、アメリカ民主主義にふさわしい文学や芸術の創造を試みた。彼にとって、民主主義の精神が人々の生活や思想に浸透するためには、文化そのものが刷新される必要があったのである。
現代においても、この言葉は示唆に富む。形式としての民主主義は広がったが、真に根づいた文化的土壌を持つかどうかは各社会で異なる。例えば教育制度や芸術活動が民主的理念に基づいて発展しているかどうかは、民主主義の成熟度を測る尺度となる。ホイットマンの言葉は、民主主義の完成は政治にとどまらず、文化と精神の領域に及ぶという普遍的な真理を伝えている。
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