「言葉は口にされたとき死ぬのだと、人は言います。私はこう言います――その日こそ、言葉が生き始めるのです」

- 1830年12月10日~1886年5月15日(55歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 詩人
英文
”A word is dead when it is said, some say. I say it just begins to live that day.”
日本語訳
「言葉は口にされたとき死ぬのだと、人は言います。私はこう言います――その日こそ、言葉が生き始めるのです」
解説
この言葉は、言葉の生命と力が「語られることによって終わる」のではなく、「語られることによって始まる」という詩的信念を示している。エミリー・ディキンソンは、内面の沈黙と詩の言葉のあいだで揺れながら生きた詩人であり、言葉の本質を深く掘り下げる姿勢を貫いていた。
「A word is dead when it is said(言葉は口にされたとき死ぬ)」という一節は、言葉は外に出された瞬間、純粋さや力を失うという悲観的な見方を表している。これは、言葉を封じ込めることで保たれる神秘や意味の深さへの信仰でもある。しかし、ディキンソンはその見解に反論し、「it just begins to live that day(その日こそ言葉が生き始める)」と主張することで、言葉が発された瞬間から他者に届き、記憶され、作用し続ける「生きた存在」になると捉えている。
この名言は、現代においても大きな示唆を与える。発言や表現が一瞬で消費される時代にあっても、語られた言葉は誰かの心に残り、思考を刺激し、行動を導く力となる。ディキンソンはこの一節を通して、言葉の発信が終わりではなく始まりであること、そしてその持続的な生命力を信じる詩人としての姿勢を鮮やかに示しているのである。
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