「私には母という存在がいませんでした。おそらく母とは、悩みがあるときに駆け寄る相手のことなのでしょう」

エミリー・ディキンソンの名言・格言・警句
エミリー・ディキンソンの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1830年12月10日~1886年5月15日(55歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 詩人

英文

”I never had a mother. I suppose a mother is one to whom you hurry when you are troubled.”

日本語訳

「私には母という存在がいませんでした。おそらく母とは、悩みがあるときに駆け寄る相手のことなのでしょう」

解説

この言葉は、母性の不在がもたらす喪失感と、それを通じて浮かび上がる「母」の定義を、静かで率直な語り口で綴ったものである。エミリー・ディキンソンは家族との距離が近くて遠いという複雑な関係の中で生きており、この言葉には実際の関係では得られなかった感情的なつながりへの憧れがにじんでいる。

I never had a mother(私には母がいなかった)」という一文は、文字通りの意味以上に、精神的・感情的な母性の不在を意味している。それは物理的に存在していた母親とは別に、心を委ね、安心して頼れる存在としての「母」には出会えなかったということを示唆している。そして続く「one to whom you hurry when you are troubled(悩みがあるときに急いで駆け寄る相手)」という表現は、母の本質を「寄り添いと安心の象徴」として定義し直すとともに、その不在の痛みを浮き彫りにしている。

この名言は、現代においても共感を呼ぶ。血縁があっても心のつながりを感じられない関係や、逆に血縁がなくとも心の支えとなる人がいる状況は決して珍しくない。ディキンソンはこの短い一節を通して、「母」とは制度や関係性ではなく、心のよりどころとなる存在であるという本質を描き、その不在がどれほど深く人の心に影響を与えるかを静かに語っているのである。

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