「愛国心は、ならず者の最後の逃げ場である」

- 1709年9月18日~1784年12月13日
- イギリス出身
- 詩人、評論家、辞書編纂者、伝記作家
英文
”Patriotism is the last refuge of the scoundrel.”
日本語訳
「愛国心は、ならず者の最後の逃げ場である」
解説
この言葉は、偽善者や無節操な人物が自らを正当化するために利用するのが「愛国心」であるという、極めて辛辣な批判である。ジョンソンは、真の愛国心を否定しているわけではない。むしろ、不正や私利私欲を隠す手段として愛国を語る行為を厳しく糾弾している。すなわち、自己の行為に正義や誠実さがない者ほど、最終的には「愛国」という言葉に逃げ込むという、鋭い皮肉なのである。
18世紀のイギリスでも、「愛国」を掲げながら政治的権力や利益を追求する者は少なくなかった。ジョンソンはそうした風潮を見抜き、言葉としての「愛国心」が腐敗の隠れ蓑となる危険性を喝破した。彼のこの発言は、真の愛国とは利己心とは無縁であるべきだという倫理観に基づいている。
現代においても、この言葉は鋭い警鐘として機能する。権力者や煽動家が、自らの失策や不正を覆い隠すために「国のため」という言葉を多用する場面は少なくない。ジョンソンの言葉は、愛国という概念を用いる者こそ、その動機と誠実さを厳しく吟味すべきであるという、時代を超えた警告を発しているのである。
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