「自ら牢に入る工夫ができるほどの者は、決して船乗りにはならないだろう。なぜなら船にいることは牢にいるのと同じであり、さらに溺れる危険まであるからだ……牢の中の方が広く、食事も良く、仲間もたいていましである」

サミュエル・ジョンソンの名言・格言・警句(画像はイメージです)
サミュエル・ジョンソンの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1709年9月18日~1784年12月13日
  • イギリス出身
  • 詩人、評論家、辞書編纂者、伝記作家

英文

”No man will be a sailor who has contrivance enough to get himself into a jail; for being in a ship is being in a jail, with the chance of being drowned… a man in a jail has more room, better food, and commonly better company.”

日本語訳

「自ら牢に入る工夫ができるほどの者は、決して船乗りにはならないだろう。なぜなら船にいることは牢にいるのと同じであり、さらに溺れる危険まであるからだ……牢の中の方が広く、食事も良く、仲間もたいていましである」

解説

この言葉は、船乗りという職業の過酷さを痛烈に皮肉った表現である。ジョンソンは、船上生活を牢獄にたとえ、閉塞した空間、粗末な食事、そして命の危険を伴う労働として描いている。つまり、自由を奪われ、危険にさらされる船乗りの境遇は、むしろ牢獄より劣るという辛辣な比較である。

18世紀のイギリスは海洋帝国として拡大し、多くの船乗りが必要とされたが、実際の船乗りの生活は苛酷で、不衛生、栄養不足、過労、そして溺死や戦闘の危険が常にあった。ジョンソンはその現実を鋭く突き、海軍や商船の華やかなイメージとは裏腹の労苦を明らかにしたのである。

現代においても、この比喩は労働環境の厳しさを批判する文脈で引用され得る。華やかに見える職業でも、実際には自由や安全を犠牲にした過酷な生活を強いられることがある。ジョンソンの言葉は、船乗りの労苦を超えて、人間の職業選択における自由と犠牲の問題を象徴的に示しているのである。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?

「サミュエル・ジョンソン」の前後の名言へ


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最も新しい 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る