「人の心は目の前のものに決して満足せず、常に現在から逃れ、未来の幸福の企てに迷い込む……人間の心の自然な飛翔は、快楽から快楽へではなく、希望から希望へと向かう」

サミュエル・ジョンソンの名言・格言・警句(画像はイメージです)
サミュエル・ジョンソンの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1709年9月18日~1784年12月13日
  • イギリス出身
  • 詩人、評論家、辞書編纂者、伝記作家

英文

”The mind is never satisfied with the objects immediately before it, but is always breaking away from the present moment, and losing itself in schemes of future felicity… The natural flights of the human mind are not from pleasure to pleasure, but from hope to hope.”

日本語訳

「人の心は目の前のものに決して満足せず、常に現在から逃れ、未来の幸福の企てに迷い込む……人間の心の自然な飛翔は、快楽から快楽へではなく、希望から希望へと向かう」

解説

この言葉は、人間の欲望と希望の尽きなさを鋭く描写している。心は今ある快楽に満足することができず、未来におけるさらなる幸福を夢見ては追い求める。つまり、人間の生は現実の充足よりも未来への期待に支えられているという逆説的な真理が示されている。

18世紀の啓蒙時代において、人間の理性や幸福追求は重要な主題であった。ジョンソンはその中で、幸福は現実に獲得されるものではなく、未来の希望として常に先送りされると指摘した。これは彼の人生観に根ざしたものであり、病や不安を抱えながらも「希望」によって精神を支えた自身の体験とも重なる。

現代においても、この洞察は普遍的である。物質的な豊かさを得ても、人はすぐに次の目標や楽しみを求める。旅行、仕事、恋愛、趣味に至るまで、実際の享受よりも、その到来を待ち望む時間に幸福を感じることが多い。ジョンソンの言葉は、幸福の本質が「今ここ」ではなく、希望そのものに宿ることを教えており、人間の生を支える根源的な心理を見事に言い表しているのである。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?

「サミュエル・ジョンソン」の前後の名言へ


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最も新しい 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る