「既成の宗教をかき乱す者とならずに哲学を教える方法を、私は知らない」

- 1632年11月24日~1677年2月21日(44歳没)
- オランダ出身(ポルトガル系ユダヤ人)
- 哲学者、合理主義思想家
英文
”I do not know how to teach philosophy without becoming a disturber of established religion.”
日本語訳
「既成の宗教をかき乱す者とならずに哲学を教える方法を、私は知らない」
解説
この言葉は、スピノザの哲学と宗教の緊張関係を表している。彼は理性に基づく哲学的探究を重視したが、それは必然的に当時の宗教的権威と衝突するものだった。哲学は真理を理性から導き出そうとするが、既成宗教は伝統や教義によって人々を支配していたため、両者は根本的に相容れなかった。スピノザはその葛藤を自覚しており、哲学を教えること自体が宗教秩序への挑戦になると理解していた。
歴史的に見れば、スピノザ自身もその言葉を裏付ける運命をたどった。彼はユダヤ教共同体から破門され、キリスト教社会からも異端とされた。しかし彼にとって哲学とは、人間の理性によって自然と神を理解する営みであり、それを放棄することはできなかった。つまり、真理の探究は宗教権威との衝突を避けられないという覚悟がこの言葉に込められている。
現代においても、この言葉は示唆的である。科学や哲学の発展はしばしば既存の信仰や制度を揺さぶる。例えば進化論やビッグバン理論も、当初は宗教的世界観と鋭く対立した。しかしそれらは人類の知を大きく前進させた。スピノザの言葉は、理性による探究が既存の枠組みに挑戦する勇気を必要とすることを伝えている。
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