「宇宙に偶然なるものはなく、すべてのものは神の本性の必然によって、特定の仕方で存在し、働くように規定されている」

- 1632年11月24日~1677年2月21日(44歳没)
- オランダ出身(ポルトガル系ユダヤ人)
- 哲学者、合理主義思想家
英文
”Nothing in the universe is contingent, but all things are conditioned to exist and operate in a particular manner by the necessity of the divine nature.”
日本語訳
「宇宙に偶然なるものはなく、すべてのものは神の本性の必然によって、特定の仕方で存在し、働くように規定されている」
解説
この言葉は、スピノザの徹底した決定論を示している。彼にとって宇宙における出来事は偶然ではなく、すべてが神=自然の必然性によって生じる。つまり、物事は「あるから存在する」のではなく、「必然的にそうあらねばならないから存在する」のである。したがって、偶然という概念は人間の無知から生じた幻想にすぎないとされた。
この思想は、スピノザの「神即自然(Deus sive Natura)」の立場に直結する。神は世界を超えて作用する存在ではなく、世界そのものの内在的原理であり、その本性は必然性である。ゆえに、星の運行も人間の感情や行動も、すべては神の本性の表現であり、決まった秩序の中で生起している。ここには、人間を含む万物が因果の必然的連鎖の中にあるという厳格な世界観が表れている。
現代においても、この視点は自然科学と親和的である。物理学や生物学の法則は、宇宙を偶然ではなく秩序あるものとして説明する試みである。スピノザの言葉は、必然の理解が自由と理性の基盤となることを示し、人間が世界を正しく理解しようとする営みを支えている。
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