「すべての幸福や不幸は、私たちが愛によって結びつけられている対象の質にのみ依存する」

- 1632年11月24日~1677年2月21日(44歳没)
- オランダ出身(ポルトガル系ユダヤ人)
- 哲学者、合理主義思想家
英文
”All happiness or unhappiness solely depends upon the quality of the object to which we are attached by love.”
日本語訳
「すべての幸福や不幸は、私たちが愛によって結びつけられている対象の質にのみ依存する」
解説
この言葉は、スピノザの愛と対象の関係に関する深い洞察を示している。人間は必然的に何らかの対象を愛し、その対象との関係によって喜びや悲しみを経験する。しかし、幸福や不幸を決定するのは愛そのものではなく、愛する対象の性質である。すなわち、理性的で永続的な価値を持つ対象を愛するなら幸福は安定するが、移ろいやすく不完全な対象を愛するなら不幸を招くことになる。
この考えは、スピノザの倫理学における「持続的な喜び」と「束の間の感情」の区別に対応している。例えば、富や名声のような外的なものを愛する場合、それが失われれば必ず不幸に陥る。一方、理性や神(自然)といった普遍的で永遠の対象を愛する場合、愛は奪われることなく、安定した至福をもたらす。ここに、スピノザが説く「知的愛(amor Dei intellectualis)」の重要性が現れている。
現代においても、この言葉は示唆に富んでいる。人がキャリアや所有物に過度に執着すれば、その対象の不安定さに応じて心も揺れ動く。反対に、知識や友情、自然といったより普遍的なものを愛するなら、より安定した幸福を得られる。スピノザの言葉は、愛する対象を選ぶことが幸福そのものを左右するという普遍的な真理を示している。
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