「神は万物の内在的原因であって、一時的な原因ではない」

- 1632年11月24日~1677年2月21日(44歳没)
- オランダ出身(ポルトガル系ユダヤ人)
- 哲学者、合理主義思想家
英文
”God is the indwelling and not the transient cause of all things.”
日本語訳
「神は万物の内在的原因であって、一時的な原因ではない」
解説
この言葉は、スピノザの哲学の核心である神即自然(Deus sive Natura)の立場を示している。従来のキリスト教的理解では、神は世界を創造した後に外から支配する超越的存在と考えられていた。しかしスピノザは、神は世界の外にいる創造者ではなく、万物の存在と働きを内側から成り立たせる原因であると主張した。つまり、神は一時的に働きかける超越的存在ではなく、常に世界の中に働いている内在的な必然の原理なのである。
この考え方は、当時の宗教的伝統と鋭く対立した。神を人格的存在として崇めるのではなく、存在そのものを支える普遍的な実体として捉えるスピノザの思想は、しばしば無神論と非難された。しかし彼自身にとっては、神とは全存在を貫く唯一の実体であり、自然法則や必然性そのものが神の表現であった。
現代においても、この言葉は深い影響を持つ。科学的世界観の中で神の役割が議論されるとき、スピノザ的な理解は「自然そのものを神とみなす」視点を提供する。宇宙を動かす必然の秩序を神と呼ぶことで、宗教と理性を結びつける試みが可能となる。スピノザの言葉は、神を外在的支配者ではなく、世界を内側から支える普遍的原理として理解する重要性を教えている。
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