「すべての刑罰は害悪であり、刑罰そのものは悪である」

- 1748年2月15日~1832年6月6日(84歳没)
- イギリス出身
- 哲学者、法学者、社会改革者
英文
”All punishment is mischief; all punishment in itself is evil.”
日本語訳
「すべての刑罰は害悪であり、刑罰そのものは悪である」
解説
この言葉は、ベンサムの刑罰論における根本的立場を示している。彼にとって刑罰は、自由や身体を制限し、苦痛を与える点で必然的に害悪である。したがって刑罰は本質的に「悪」であり、正当化され得るのはそれがより大きな害悪を防ぎ、社会全体の幸福を増進する場合に限られるという考え方である。つまり、刑罰は功利主義的観点から「必要悪」としてのみ認められる。
この思想は、18世紀から19世紀にかけての刑罰制度への批判の中で生まれた。当時は過酷な肉体刑や死刑が頻繁に行われ、犯罪抑止よりも残虐な見せしめの側面が強かった。ベンサムはそれを批判し、刑罰は犯罪防止や社会秩序維持に役立つ限りで最小限に抑えるべきだと主張した。この考え方は、後の近代刑法学や矯正思想の発展に大きな影響を与えた。
現代社会においても、この命題は大きな意義を持つ。例えば、死刑制度の是非や懲罰的刑罰と更生重視の刑罰のバランスといった議論において、ベンサムの視点は参照されている。彼の指摘は、刑罰の存在自体が悪であることを忘れず、それを必要最小限に制御することが社会正義に不可欠であるという普遍的な教訓として、今日でも有効である。
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