「秘密主義は陰謀の道具であるがゆえに、正規の政府の制度となってはならない」

- 1748年2月15日~1832年6月6日(84歳没)
- イギリス出身
- 哲学者、法学者、社会改革者
英文
”Secrecy, being an instrument of conspiracy, ought never to be the system of a regular government.”
日本語訳
「秘密主義は陰謀の道具であるがゆえに、正規の政府の制度となってはならない」
解説
この言葉は、政府の透明性の重要性を鋭く指摘したものである。ベンサムは、秘密は陰謀や不正を助長する性質を持つため、公開と説明責任こそが正しい統治の基盤であると考えた。つまり、政府が秘密主義を常態化させれば、それは民主的な制度ではなく、腐敗と権力の乱用を生み出す温床となるという警告である。
この思想は、18世紀から19世紀の政治状況に結びつけて理解できる。当時のヨーロッパ諸国の多くは、まだ王政や特権的な支配層による政治が強く、政府の意思決定はしばしば市民の目から隠されていた。啓蒙思想の影響を受けたベンサムは、社会全体の幸福を最大化するためには、統治が公開性と合理性を持たなければならないと考え、このような発言をしたと考えられる。
現代においても、この言葉は大きな意味を持つ。政府の機密保持は国家安全保障の観点から一定の必要性を持つが、それが行き過ぎれば情報隠蔽や腐敗を生み、市民の信頼を失う。例えば、政治資金の不透明さや国家機関による監視の隠蔽などは現代社会でも問題視される。ベンサムの警句は、今日においても民主主義の健全性は政府の透明性に依存しているという普遍的な原則を示している。
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