「問題は『彼らは理性を持つか』でも『彼らは話すことができるか』でもなく、『彼らは苦しむことができるか』である」

- 1748年2月15日~1832年6月6日(84歳没)
- イギリス出身
- 哲学者、法学者、社会改革者
英文
”The question is not, ‘Can they reason?’ nor, ‘Can they talk?’ but rather, ‘Can they suffer?’”
日本語訳
「問題は『彼らは理性を持つか』でも『彼らは話すことができるか』でもなく、『彼らは苦しむことができるか』である」
解説
この言葉は、ベンサムが動物に対する倫理的配慮を論じた際に述べたものである。ここで示されている核心は、動物に対する扱いの正当性を、人間と同様に理性や言語能力を基準にするのではなく、苦痛を感じる能力こそが倫理判断の基準であるとする点にある。これは当時としては極めて先駆的な発想であった。
18世紀末から19世紀初頭の社会においては、動物はしばしば単なる労働力や資源とみなされ、人道的な扱いを求める声は少なかった。しかし功利主義を提唱したベンサムは、幸福や苦痛の感受は人間に限られるものではなく、感覚を持つすべての存在に広がると考えた。この観点から、動物の苦痛を軽視することは功利主義の原則に反すると説いたのである。
現代においても、この言葉は動物愛護や動物権運動の基礎理念として大きな影響を与えている。例えば、畜産や動物実験に関する倫理的議論、さらにはヴィーガニズムや環境保護運動においても、「苦しむ能力」こそが権利や配慮の根拠であるとする考え方が受け継がれている。ベンサムの洞察は、今日の動物倫理学の出発点といえるものである。
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