「金銭の欠乏や盗人の困窮が彼の盗みの原因とされることは決してない。なぜなら多くの正直な人々は、さらに大きな苦難をも忍耐をもって耐え忍んでいるからである。ゆえに盗みの原因を金銭の不足に求めることはできない。それは守銭奴の激情であって、盗人のものではない」

ウィリアム・ブレイクの名言・格言・警句
ウィリアム・ブレイクの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1757年11月28日~1827年8月12日(69歳没)
  • イギリス出身
  • 詩人、画家、銅版画職人、神秘主義思想家

英文

”Want of money and the distress of a thief can never be alleged as the cause of his thieving, for many honest people endure greater hardships with fortitude. We must therefore seek the cause elsewhere than in want of money, for that is the miser’s passion, not the thief’s.”

日本語訳

「金銭の欠乏や盗人の困窮が彼の盗みの原因とされることは決してない。なぜなら多くの正直な人々は、さらに大きな苦難をも忍耐をもって耐え忍んでいるからである。ゆえに盗みの原因を金銭の不足に求めることはできない。それは守銭奴の激情であって、盗人のものではない」

解説

この言葉は、人間の行為の動機を表面的な理由で説明することの危うさを指摘している。ブレイクは、盗みを単に「お金がないから」といった説明で済ませるのではなく、その背後にある人間性や社会の在り方に目を向けるべきだと主張している。金銭の欠乏は多くの人が経験するが、すべてが犯罪に至るわけではないからである。

当時の社会では、貧困と犯罪を安易に結びつける風潮があった。しかしブレイクは、盗みは単なる金銭的欠乏の問題ではなく、より深い精神的・道徳的要因に根ざしていると考えた。それは欲望、教育の欠如、社会的疎外など、多様な要素によって形成されるものである。

現代においても、この視点は重要である。貧困が犯罪の一因であることは否定できないが、すべてをそれに帰してしまうと本質的な理解を欠く。例えば、ある者は極度の困窮の中でも誠実に生き、またある者は十分な資産を持ちながら不正を働く。ブレイクの言葉は、人間の行動の原因を一面的に解釈する危険を警告し、より複雑で深い理解を求めるものである。

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