「対立なくして進歩はない。引力と斥力、理性とエネルギー、愛と憎しみ――これらは人間の存在に不可欠である」

- 1757年11月28日~1827年8月12日(69歳没)
- イギリス出身
- 詩人、画家、銅版画職人、神秘主義思想家
英文
”Without contraries is no progression. Attraction and repulsion, reason and energy, love and hate, are necessary to human existence.”
日本語訳
「対立なくして進歩はない。引力と斥力、理性とエネルギー、愛と憎しみ――これらは人間の存在に不可欠である」
解説
この言葉は、対立や矛盾こそが人間の発展を支える原動力であるというブレイクの核心的思想を表している。彼は、世界や人間を単一的・調和的に捉えるのではなく、相反する力の緊張と葛藤が進歩を生み出すと考えた。愛と憎しみ、理性と情熱といった二項は、どちらかが排除されるべきものではなく、むしろ共存し合うことで人間の存在を形作るのである。
この思想は、啓蒙主義の理性中心主義やキリスト教的な善悪二元論への批判として理解できる。当時の社会は調和や秩序を重んじたが、ブレイクはそれに抗して、矛盾や対立を受け入れることが創造と成長の源泉であると主張した。彼の詩や版画に描かれる象徴的イメージは、しばしば光と闇、善と悪といった対立する要素を内包しながら全体を形作っている。
現代においても、この名言は普遍的な意義を持つ。人間社会や個人の人生において、葛藤や対立は避けられないが、それらを否定するのではなく、受け入れて対話し統合することで成長が生まれる。科学における仮説と反証、政治における対立意見、個人の内面における欲望と理性の緊張――これらはすべて進歩の条件である。ブレイクの言葉は、矛盾を恐れずに受け止めることで人間存在の豊かさと進歩が可能になると教えている。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?
「ウィリアム・ブレイク」の前後の名言へ
申し込む
0 Comments
最も古い