「経験の代価とは何か。それは歌で買えるものか。あるいは街頭の踊りで得られるものか。いや、それは人が持つすべて――家も、妻も、子も――を代価として支払って初めて得られるのだ」

- 1757年11月28日~1827年8月12日(69歳没)
- イギリス出身
- 詩人、画家、銅版画職人、神秘主義思想家
英文
”What is the price of experience? Do men buy it for a song? Or wisdom for a dance in the street? No, it is bought with the price of all the man hath, his house, his wife, his children.”
日本語訳
「経験の代価とは何か。それは歌で買えるものか。あるいは街頭の踊りで得られるものか。いや、それは人が持つすべて――家も、妻も、子も――を代価として支払って初めて得られるのだ」
解説
この言葉は、経験と知恵の獲得に伴う犠牲の大きさを鋭く描いている。ブレイクは、経験や知恵が軽々しく得られるものではなく、人生における最も深い代償――愛する人や生活の基盤までも犠牲にすることによって得られると強調している。ここには、真の知恵は生きる苦難と犠牲を通してのみ到達できるという厳しい現実認識が込められている。
この思想は、彼の詩的世界に通底する「苦難を通じた成長」というテーマとも重なる。18世紀末から19世紀初頭の社会では、啓蒙主義的な合理主義が知識を単なる学習や教育の成果として捉えがちであった。だがブレイクは、知恵は教科書からではなく、人生そのものの試練や喪失から生まれると主張した。この視点は、彼の反体制的かつ人間的な思想をよく表している。
現代においても、この名言は深い共感を呼ぶ。例えば、大きな失敗や愛する人との別れといった人生の試練は、痛みと代償を伴うが、それを通じてこそ人は本当の経験を得る。知恵は容易な代価ではなく、人生そのものの重さを支払って得られる宝である。ブレイクの言葉は、経験の尊さとその背後にある犠牲の現実を忘れるなと訴えている。
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