「妻とは何か、娼婦とは何か。教会とは何か、劇場とは何か。それらは二つであって一つではないのか。分離して存在し得るのか。宗教と政治は同じものではないのか。兄弟愛こそ宗教である。ああ、理性の実演が家族を残酷と誇りによって引き裂くことよ!」

- 1757年11月28日~1827年8月12日(69歳没)
- イギリス出身
- 詩人、画家、銅版画職人、神秘主義思想家
英文
”What is a wife and what is a harlot? What is a church and what is a theatre? are they two and not one? Can they exist separate? Are not religion and politics the same thing? Brotherhood is religion. O demonstrations of reason dividing families in cruelty and pride!”
日本語訳
「妻とは何か、娼婦とは何か。教会とは何か、劇場とは何か。それらは二つであって一つではないのか。分離して存在し得るのか。宗教と政治は同じものではないのか。兄弟愛こそ宗教である。ああ、理性の実演が家族を残酷と誇りによって引き裂くことよ!」
解説
この言葉は、社会制度や価値観の境界線を疑い、その恣意性を暴くブレイクの挑発的な思想を表している。妻と娼婦、教会と劇場といった対立的に扱われる概念は、実際には相補的であり不可分であると問いかけることで、善悪や神聖と俗、秩序と放縦といった二元論の限界を示している。
また、宗教と政治の関係についても、彼はそれらを本質的に分けられないものと捉えている。18世紀末から19世紀初頭のイギリスにおいて、宗教は政治秩序を支える装置であり、両者は密接に結びついていた。ブレイクはこれを批判し、真の宗教とは制度や権力ではなく兄弟愛であると主張する。制度的宗教や権威的政治が家族や共同体を分裂させる現実を、彼は「理性」の名の下に行われる残酷な実演として告発している。
現代においても、この言葉は鋭い意義を持つ。人間社会は依然として、制度や規範によって人を分断し、対立を生み出す構造を抱えている。宗教と政治、私的領域と公共領域を峻別しようとする一方で、それらは実際には重なり合い、影響し合っている。ブレイクの言葉は、境界を問い直し、愛と兄弟愛を基盤とした普遍的な人間理解の必要性を訴えている。
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