「イワン雷帝の誤りの一つは、五大封建貴族を見逃したことだ。もし彼があの五家を完全に抹殺していれば、『動乱時代』は確実に起こらなかった。だがイワン雷帝は人を処刑したあと、長く悔い改め、祈りにふけった。神がこの問題において彼の邪魔をしたのだ。彼はもっと断固としているべきだった!」

- 1878年12月18日~1953年3月5日
- グルジア(ジョージア)出身
- ソ連共産党書記長(最高指導者)、ソ連邦大元帥
英文
“One of Ivan the Terrible’s mistakes was to overlook the five great feudal families. If he had annihilated those five families, there would definitely have been no Time of Troubles. But Ivan the Terrible would execute someone and then spend a long time repenting and praying. God got in his way in this matter. He ought to have been still more decisive!”
日本語訳
「イワン雷帝の誤りの一つは、五大封建貴族を見逃したことだ。もし彼があの五家を完全に抹殺していれば、『動乱時代』は確実に起こらなかった。だがイワン雷帝は人を処刑したあと、長く悔い改め、祈りにふけった。神がこの問題において彼の邪魔をしたのだ。彼はもっと断固としているべきだった!」
解説
この発言は、歴史上の君主イワン雷帝(16世紀ロシアのツァーリ)に対するスターリンの評価を通じて、自らの統治哲学を示唆する言葉である。スターリンは、国家の安定と中央集権を確立するためには、徹底的な敵対勢力の粛清が必要であり、イワンの「甘さ」が歴史的混乱(動乱時代)を招いたと断じている。
この言葉には、スターリンの統治理念――徹底した権力集中、容赦なき敵対勢力の排除、そして感情や宗教による逡巡の否定が強く表れている。特に「神が彼の邪魔をした」という表現は、信仰や道徳的良心が政治的断固さを損なう要因であると見なす、無神論的かつ現実主義的な価値観の発露である。
この発言は、スターリン自身が行った大粛清の正当化にも通じており、歴史的前例を引き合いに出すことで、容赦なき暴力による支配が長期的安定につながるという政治哲学を浮き彫りにしている。現代の視点から見れば、道徳と権力行使の乖離、そして宗教と国家の断絶の危険性を再考させる、きわめて象徴的かつ警鐘的な一言である。
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