「我々は国家の消滅を支持するが、同時に、プロレタリアート独裁の強化を支持する。それはこれまでに存在したすべての国家形態の中で最も強力で最も強大なものである。国家の力を最大限に発展させ、それによって国家の消滅の条件を準備する――これがマルクス主義の公式である。それは『矛盾している』か? そう、『矛盾している』。だがこの矛盾こそが生きた現実であり、マルクス主義の弁証法を完全に反映している」

ヨシフ・スターリンの名言・格言・警句(画像はイメージです)
ヨシフ・スターリンの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1878年12月18日~1953年3月5日
  • グルジア(ジョージア)出身
  • ソ連共産党書記長(最高指導者)、ソ連邦大元帥

英文

“We are in favour of the withering away of the state, and at the same time we stand for the strengthening of the dictatorship of the proletariat, which represents the most powerful and mighty of all forms of the state which have existed up to the present day. The highest development of the power of the state, with the object of preparing the conditions of the withering away of the state: that is the Marxist formula. Is it ‘contradictory’? Yes, it is ‘contradictory.’ But this contradiction is a living thing and wholly reflects the Marxist dialectic.”

日本語訳

「我々は国家の消滅を支持するが、同時に、プロレタリアート独裁の強化を支持する。それはこれまでに存在したすべての国家形態の中で最も強力で最も強大なものである。国家の力を最大限に発展させ、それによって国家の消滅の条件を準備する――これがマルクス主義の公式である。それは『矛盾している』か? そう、『矛盾している』。だがこの矛盾こそが生きた現実であり、マルクス主義の弁証法を完全に反映している」

解説

この言葉は、国家という概念に対するマルクス主義の根本的な逆説――「国家は不要になるべきだが、一時的には強化されなければならない」――を論理的に肯定するものである。スターリンは、プロレタリアート独裁という国家形態が、最終的な国家の消滅(withering away)への移行段階における必要かつ最も強力な手段であると説いている。

この「矛盾」は、弁証法的唯物論に基づく理論展開であり、マルクス主義が直線的な思考ではなく、矛盾を含みつつ発展していく歴史の運動法則を重視する立場を明確に示している。スターリンはこの発言を通じて、一見すると相反する国家の強化と国家の消滅という概念を、理論的に統合可能であることを主張している。

現代の視点から見ると、この論理は全体主義的支配の正当化として機能した面も否定できない。国家が強くなることが、国家を消すためであるという主張は、現実にはしばしば権力の恒久化と抑圧の強化へと転化した。それでもこの言葉は、思想と制度、理念と現実との間の緊張関係を鋭く捉えた、マルクス主義的政治理論の核心を体現している。

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