「彼らは知っている。もし民主主義諸国が勝利すれば、資本主義の冷酷さを存分に振るって荒れ狂うことを。すなわち、金だけを神とし、利益への執着以外に人間的感情を持たず、いかなる高貴な思想もこの利得本能のために躊躇なく犠牲にできる者たちにのみ可能な、あの冷酷さを」

アドルフ・ヒトラーの名言・格言・警句(画像はイメージです)
アドルフ・ヒトラーの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1889年4月20日~1945年4月30日
  • オーストリア=ハンガリー帝国出身
  • ナチス・ドイツの政治指導者

英文

”They realize that the democracies, if they should ever win, would rage with the full capitalist cruelty, that cruelty of which only those are capable whose only god is gold, who know no human sentiments other than their obsession with profit, and who are ready to sacrifice all noble thought to this profit instinct without hesitation…”

日本語訳

「彼らは知っている。もし民主主義諸国が勝利すれば、資本主義の冷酷さを存分に振るって荒れ狂うことを。すなわち、金だけを神とし、利益への執着以外に人間的感情を持たず、いかなる高貴な思想もこの利得本能のために躊躇なく犠牲にできる者たちにのみ可能な、あの冷酷さを」

解説

この発言は、アドルフ・ヒトラーによる資本主義批判と、民主主義諸国――特にイギリスやアメリカ――に対する敵意を明確に示したものである。ヒトラーはしばしば、自由民主主義と資本主義を「ユダヤ的堕落」と結びつけ、精神的・文化的価値を金銭によって腐敗させる仕組みとして描いた。この文でも、「神は金」「利益しか感情がない」といった極端な描写を用いることで、ナチス・ドイツの道徳的優越性を際立たせようとしている

ここに見られるのは、ナチスが民主主義国家を「精神なき経済動物の集団」として描き、自らの全体主義体制を「高貴な理想に基づく国家」と位置づけるプロパガンダ的二項対立である。「高貴な思想」や「犠牲」という語は、ナチズムが求める献身・忠誠・自己犠牲の美徳と結びつき、「金のために戦う」敵と、「民族と理想のために戦う」自国民という構図を浮かび上がらせている。

この発言から現代に読み取るべき教訓は、他国や他者を「非道徳的存在」と決めつけ、自国の体制や価値観を絶対化するレトリックが、いかにして戦争や排外主義を正当化するかということである。また、経済的自由や利益追求を悪として描きつつ、その批判の裏にある全体主義的支配を見抜く視点の重要性もあわせて学ぶ必要がある。

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