「曲れる作者たらんよりは寧ろ直ぐなる述者たれ。拙き著者たらんよりは寧ろ巧なる翻訳者たれ」

- 1862年2月17日~1922年7月9日(60歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、翻訳家、軍医
原文
「曲れる作者たらんよりは寧ろ直ぐなる述者たれ。拙き著者たらんよりは寧ろ巧なる翻訳者たれ」
解説
この言葉は、創作における姿勢と役割選択の指針を示している。ここで「曲れる作者」とは、自己の思想や表現が歪み、真実や正直さを欠いた創作者を指す。それに対して「直ぐなる述者」とは、創作ではなくとも、事実や他者の思想を正確に、誠実に伝える語り手のことを意味する。著者は、歪んだ創作よりも正しい伝達の方が価値があると説いている。
また後半では、拙い著作によって不完全な作品を世に出すより、他者の優れた作品を巧みに翻訳し、その価値を損なわずに伝えることの意義を強調している。翻訳は創作に劣るという見方もあるが、この言葉はむしろ、翻訳者としての熟練と誠実さを評価している。
現代においても、この思想は重要である。無理に独創を狙って質の低いコンテンツを生むよりも、既存の優れた知見を正確に伝える役割は、教育・メディア・研究など多くの分野で不可欠だ。この言葉は、創作の自己満足よりも、誠実で質の高い伝達を尊ぶ価値観を示している。
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