「平気で黙りたい間黙っていることは、或る年齢を過ぎては容易に出来なくなる」

- 1862年2月17日~1922年7月9日(60歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、翻訳家、軍医
原文
「平気で黙りたい間黙っていることは、或る年齢を過ぎては容易に出来なくなる」
解説
この言葉は、沈黙を保つことの難しさが年齢とともに増すという人間観察である。若い頃は感情や考えを抑え、状況に応じて黙ることが比較的容易だが、年齢を重ねると経験や自負が増し、自分の意見や感想を口に出さずにいられなくなる傾向が強まる。沈黙は受動的な姿勢にも見えるが、実際には大きな精神的忍耐を要する行為である。
背景として、森鴎外の時代も現代も、年長者は「知っていることを伝える義務感」や「自分の意見を正当化したい衝動」を抱きやすい。社会的地位や役割を持つようになると、沈黙よりも発言が期待される場面が増え、黙ること自体が難しい環境になる。
現代においても、職場や家庭での年配者が「つい口を挟んでしまう」場面は珍しくない。沈黙は弱さではなく、状況を見極める強さの表れであり、歳を重ねてもその力を維持するには意識的な努力が必要だという教訓である。
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