「富人が金を得れば、悪業が増長する。貧人が金を得れば堕落の梯を降って行く」

- 1862年2月17日~1922年7月9日(60歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、翻訳家、軍医
原文
「富人が金を得れば、悪業が増長する。貧人が金を得れば堕落の梯を降って行く」
解説
この言葉は、金銭が人間性に与える影響を戒めたものである。富裕層がさらに財を得れば、既に持つ権力や利権を背景に、自己の利益を拡大するための不正や傲慢さが強まる可能性が高い。一方、貧困層が急に金を得ると、生活の安定よりも欲望や享楽に流され、道徳や節度を失いやすいという指摘である。
森鴎外の時代、日本は近代化と資本主義の進展によって経済的格差が拡大していた。急成長する富裕層には政治や経済を操る者が現れ、急に金を手にした庶民には浪費や遊興に溺れる例が多く見られた。金はそれ自体が悪ではないが、持ち主の資質によって善にも悪にも働くという現実が背景にある。
現代でも、宝くじの高額当選者が破産する事例や、大企業の経営者が不祥事を起こす例は後を絶たない。金銭を得たときにこそ自制心や倫理観を保ち、持続的に活かす知恵が必要であるという教訓は、今も変わらず有効である。
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