「人間は遅疑しながら何かするときは、その行為の動機を有り合せの物に帰する」

森鴎外の名言・格言・警句(画像はイメージです)
森鴎外の名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1862年2月17日~1922年7月9日(60歳没)
  • 日本出身
  • 小説家、評論家、翻訳家、軍医

原文

「人間は遅疑しながら何かするときは、その行為の動機を有り合せの物に帰する」

解説

この言葉は、人がためらいながら行動する場合、その行動の理由を後付けで適当なものに求めがちであるという心理的傾向を述べている。「有り合せの物に帰する」とは、深く検討した結果ではなく、その場しのぎの理由を見つけて自らを納得させることを意味する。ためらいは動機の不明確さや迷いの表れであり、その不安を埋めるために人は理由を捏造または簡略化する。

背景には、鴎外の観察力と心理洞察がある。当時の知識人社会では、行動には論理的な根拠や確固たる信念が伴うべきだとされていたが、実際には人間は感情や偶然に左右され、後から理由を整えることが多い。この発言は、その偽りの合理化を冷静に指摘している。

現代への応用としては、意思決定や判断の場面で、自分や他者の理由づけが本当に最初からあったのか、それとも結果に合わせて作られた「後付け」なのかを見極める重要性を示唆している。ビジネスや政治、日常の選択においても、この自己欺瞞を認識することは、より誠実で効果的な意思決定につながる。

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