「なんでも日本へ持って来ると小さくなる。ニイチェも小さくなる。トルストイも小さくなる」

- 1862年2月17日~1922年7月9日(60歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、翻訳家、軍医
原文
「なんでも日本へ持って来ると小さくなる。ニイチェも小さくなる。トルストイも小さくなる」
解説
この言葉は、外国の思想や文化が日本に伝わると、その本来の規模や力が縮小してしまうという現象を指摘している。単なる翻訳や紹介の段階で失われるニュアンスや、受け入れる側の社会的・文化的背景による変質が原因で、原著者の思想が持つ鋭さや広がりが損なわれることが多いという批判である。
背景として、明治から大正期にかけての日本は、西洋思想を大量に輸入していたが、その多くは断片的な理解や流行的な消費にとどまり、原典の精神を十分に消化できていなかった。鴎外は西洋文学や思想に深く通じていたため、こうした浅薄な受容を敏感に感じ取り、警鐘を鳴らしたと考えられる。
現代でも、この指摘は色褪せない。海外の理論や文化を受け入れる際、背景や文脈を理解せずに形だけ模倣すると、本質が失われた“縮小版”になる。この名言は、単なる輸入ではなく、自国の文化や状況に即して咀嚼・再構築する必要性を強く示している。
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