「女はどんな正直な女でも、その時心に持っている事を隠して、外の事を言うのを、男程苦にしはしない」

- 1862年2月17日~1922年7月9日(60歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、翻訳家、軍医
原文
「女はどんな正直な女でも、その時心に持っている事を隠して、外の事を言うのを、男程苦にしはしない」
解説
この言葉は、感情や本心を隠すことに対する男女の心理的な差について述べている。森鴎外は、女性はどれほど正直な性格であっても、その瞬間に心の中で考えていることをあえて口にせず、別の話題や言葉を選ぶことに、男性ほど罪悪感や不快感を覚えないと指摘している。ここには、感情の自己調整や対人関係の調和を優先する傾向が女性に強いという観察が含まれている。
この発想の背景には、明治から大正期にかけての社会的役割の違いがある。当時、女性は家庭や社交の場で円滑な人間関係を保つ役割を担い、直接的な衝突や感情の露呈を避けることが美徳とされていた。そのため、場の空気に合わせて本心と異なる言葉を口にする能力が求められ、それが習慣的な行動様式となっていたと考えられる。
現代においては、この傾向は必ずしも性別によって固定されるものではないが、職場や家庭で対立を避けるために本音を隠し、別の言葉を選ぶことは依然として行われている。特に、対人関係における柔軟な自己表現は、衝突を回避しつつ目的を達成するための有効な手段であり、この言葉はその一面を鋭く捉えている。
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