「大きい車は廻りが遅いのう」

- 1862年2月17日~1922年7月9日(60歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、翻訳家、軍医
原文
「大きい車は廻りが遅いのう」
解説
この言葉は、規模の大きなものは動きが鈍く、変化に時間がかかるという比喩である。ここでの「大きい車」は、実際の大型の車両だけでなく、組織・国家・制度など、構造が大きく複雑なものを象徴している。大きく重い車ほど回転に力と時間が必要なように、規模の大きな存在ほど意思決定や行動の切り替えが遅れるという現実を簡潔に表現している。
森鴎外がこの言葉を述べた背景には、明治から大正期の官僚機構や軍組織での経験があると考えられる。鴎外は陸軍軍医総監という高い地位にあり、大規模組織の中で新しい方針や改革が迅速に実行されにくいことを何度も経験している。組織が大きくなるほど調整や合意形成に時間がかかり、柔軟性を失いやすいという観察は、この短い言葉に集約されている。
現代でも、この比喩は企業や行政機関などに当てはまる。小規模なベンチャー企業が素早く方針転換できるのに対し、大企業や官庁は変更に長い準備期間を要する。また、社会全体の意識改革にも時間がかかる。規模の大きさは安定性をもたらす一方で、機動性を犠牲にするというこの洞察は、組織運営や社会改革を考えるうえで重要な教訓である。
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